バス・タクシー運転者の氏名表示廃止 — 乗務員のプライバシー保護へ

2023年8月1日

国土交通省は令和5年8月1日、バスやタクシー、自家用有償旅客運送において、車内での乗務員等の氏名表示義務を廃止する省令改正を公布しました。これにより、旅客サービスの質を保ちながら、運転者のプライバシー保護と働きやすい職場環境の実現を目指しています。

バス・タクシー業界での主な変更点

これまでバスやタクシーの車内に掲示されていた乗務員の氏名表示がなくなります。乗客に対するサービス品質を損なわないよう、事業者にはプライバシーと利便性のバランスを取ることが求められます。

タクシーの運転者証については、利用者に見える面から氏名、顔写真、運転免許証の有効期限が削除されます。ただし、運転者証としての機能は維持されており、これらの情報は利用者からは見えない面に記載されます。なお、新しい運転者証への更新には経過措置が設けられています。

この改正は、デジタル化の進展とともに、乗務員のプライバシー保護がますます重要視されるようになったことを反映しています。SNSの普及や個人情報保護への社会的関心の高まりから、氏名や顔写真の掲示による安全上の懸念も存在していました。

同時に、バス・タクシー業界が人材確保に課題を抱える中、働きやすい職場環境の整備は重要な施策です。乗務員のプライバシーを保護しながらも、サービス品質を維持するための工夫が各事業者に求められることになります。

改正省令および関連告示は、令和5年8月1日に公布・施行されました。